2017上半期中国映画レポート

ここ最近、これらの中国映画たちを見た。

1. 我不是潘金莲
2. 28岁未成年
3. 情圣
4. 乘风破浪
5. 嫌疑人X的献身

1. 「我不是潘金莲」

今も中国一の美女と言えば彼女を指すのだろう、というイメージの范冰冰 (ファン・ビンビン) が主演。1枚めポスターの2人は同じ彼女。范冰冰がこんな泥臭い田舎の女性を演じる、というのも一つの売りになっているようだ。

ただ、それよりもまずはこの不思議な画面に吸い寄せられる。

冯小刚新片《我不是潘金莲》首曝预告

丸く切り取られた画面の中で、昔ながらの生活が営まれ、理不尽さに耐えながら地道に努力する女性が、じーっくりと描かれていく。社会の、というか立場に固執する人々を皮肉っぽく描いていく。
絵画的だが泥臭い。美しい風景とかではないのだが、見ていて飽きない。とはいえ、話もじーっくりと進むので中々最後まで見るのは辛かったが(笑)

英語タイトルは “I Am Not Madame Bovary” で、原題も「私は潘 金蓮ではない」である。潘 金蓮とはウィキペディアによると水滸伝などに登場する「絶世の美女だが性欲・物欲・向上心が強く、夫を殺して情夫との淫蕩にふける典型的な悪女・淫婦」の象徴的な人物のこと。英題のボヴァリー夫人も同じような人物。もし邦題をつけるなら、誰の名前を充てるのだろうか。
などと思ってたら、既に原作の邦訳が出版されていた。

わたしは潘金蓮じゃない
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2. 「28岁未成年」

学生時代から付き合って10年、同棲も5年して今さら別れの危機に陥った28歳女子が、17歳に戻れるチョコレートを手に入れて…というラブコメ。

《28岁未成年》Suddenly Seventeen || 爱情版预告

主演の倪妮 (ニーニー) は28歳と17歳をもちろん両方演じるのだが、彼女の演技力は十分に説得力がある。17歳時代の恋人役には”我的少女時代”の王大陆 (ダレン・ワン) !

 

3. 「情圣」

既婚子持ちの代理店勤務の30過ぎ男 (肖央) が、広告でやってきた韓流モデル (クララ、イ・ソンミン)に何とかお近づきになろうと必死に頑張る…というコメディ。

《情圣》Some Like It Hot || “搞事”版预告

肖央という主演俳優は、どっかで見たな~と思っていたら、王宝强「唐人街探案」に敵役で出ていたのであった。脚本や制作もやったり音楽でも有名らしい。
しかし、映画はまあゲスい。コメディとして面白いけど、見ててもひくレベルで男目線だけのゲスい努力が続くので、人を選ぶ映画だろうな…

 

4. 「乘风破浪」

あの80后世代の人気作家・韩寒 (韓寒)が監督した第二弾作品。僕は「ネオ・チャイナ」という本で彼の人気を知った。しかも、現在はラリーもやっている。ずーっと気になる存在だ。

話は、父親との確執を抱えた男が、事故をきっかけに父親がまだ結婚する前の時代へとタイムスリップし、同世代の父親と共に過ごしながら父親の実像へと触れていき…というもの。大きなクライマックスも少なく、穏やかに話も進んでいき、落ち着いた作りで楽しめる。質も高い。

《乘风破浪》曝终极预告

それにしても、主演の邓超 (ダン・チャオ) は本当に忙しそうだ。美人鱼はじめ、いろんな映画でしょっちゅう目にする。今が俳優人生のピークなんではなかろうか。

タイトルにもなっていて、劇中でも歌われる「乘风破浪歌」はさだまさし「関白宣言」の中国語版だそうな。しかも今回は韩寒みずからが作詞をしている。

「男子汉宣言之《乘风破浪歌》」というのが正式名なんだろうか。「関白宣言」は中国漫才”相声”の定番ネタにもなっているようだ。もちろんさだまさしのがオリジナルなんだろうが、歌詞がネタなのかタイトルだけなのか、一度聞いてみたい。

冒頭と後半に、やはりラリーやドリフトのシーンが出てくる。当然所属していた/いるスバル・ラリーチーム・チャイナのWRX STi。しかも、タイムスリップ場面ではちゃんとインプになっていて、90年代に時代考証も揃えている(笑)

 

5. 「嫌疑人X的献身」

言わずと知れた東野圭吾の大ヒット作品「容疑者Xの献身」の中国版である。2012年の韓国版に続き今年の4月公開となった。監督はあの「左耳」の、歌手で俳優でもある苏有朋 (アレック・スー) だ。

しかし、実際にはかなり手堅い方向でのリメイクになっていて興味深かった。福山雅治や柴咲コウが彩りコメディ要素も混じっていた日本版からすると、非常に「暗い」映画になっていた(笑)
俳優も、王凯(ワン・カイ)张鲁一(チャン・ルーイー)という2人が主演なのだが僕は知らなかった。特に张鲁一はドラマで有名らしい。

この映画の車両はBYD (比亚迪) というメーカーがスポンサーなのだが、そのせいで同社が誇る”車庫出し”機能をさりげなく盛り込んでいて面白い。僕は知らなかったので、えええ???と映画そっちのけで気になってしまったものだ(笑)
全新速锐 比亚迪汽车 (速锐がモデル名である。)

ここより

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お取り寄せインド音楽

最近聴きこんでいるヒンズーポップ=ボリウッド・ミュージック。

ある場所でかけたいと思ったら、昨今の著作権問題から正規版CDを入手しなければ「演奏」はできないという回答がきた…なんとまあ…

で、去年のヒット曲あたりが収録されたCDを探すが…ない。

海外では当然だが、最近はCDでリリースされる事がむしろまれ、という現状。アマゾンその他、日本のサイトでは見つからない。インドのアマゾンでは見つかるが、各国アマゾンは基本的に国外発送を受けつけていない。ebay.comでもバカ高いのしかなく、ようやく見つけたのはなんとアイルランドのebayであった。

My Ultimate Bollywood Holi Party 2017

このコンピレーションは毎年出されるもので、ソニー・ミュージック・エンタテイメント・インディア制作のもの。ボリウッドはこのソニーとZee Musicでほとんどを占めているので、ここの収録されているのもその2社の曲がほとんどだ。しかし、十二分に去年と今年のヒンズー・ヒットチューンを網羅している。

2枚組だが、送料込み1800円程度で無事に届いた。

映画で言うと、
“Raees”
“OK Jaanu”
“Baar Baar Dekho”
”Kapoor & Sons”
“Dangal”
“Ae Dil Hai Mushkil”
などなど。

Baar Baar Dekho Official Trailer with Subtitles I Sidharth Malhotra & Katrina Kaif

この“Baar Baar Dekho”収録曲は映画も見たので、一層の思い入れがある。映画は、結婚を前にした真面目な数学研究者が何故か一生を先に夢で見てしまい、本当に大事なものに気づく、というSF的に不思議なストーリー。
主役のSidharth Malhotraがカッコイイ。

フルmovieも出ている。
BAAR BAAR DEKHO HD

エンディングは大ヒット曲のこれ。
Kala Chashma | Baar Baar Dekho

こんな難しいダンスも”踊ってみた”動画がたくさん上がっていて楽しい!

祖母の日常

祖母が亡くなった。
95歳の生涯で、直前まで意識もはっきりとしていて、まさに大往生であった。

葬儀を済ませ、その数日後にこの本を読んだ。
驚きの介護民俗学 (シリーズ ケアをひらく) 六車 由実
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この本はつまり、お年寄りの話をどう聞くかという事で、僕らのような民俗学が好きなものには膝を打つような世界へと誘ってくれる。
そして、僕はお正月に祖母にも同じように話を聞こうとしていたのだった。

それは、映画「この世界の片隅に」を見たからであった。
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この映画は呉と広島の物語だ。竹原に育った祖母の故郷の話である。主人公のすずさんは、現実なら今91歳。祖母とほぼおなじ時代を生きていた人の物語なのである。そんな自分が祖母を重ねずにこの映画を見ずにいられようか。

あの映画を見た後、さらに祖母にとっての「あの時代」を聞きたくなり、お正月に帰ったときにも色々と話をせがんだのであった。体調は良くはなかったと思うけれど、楽しそうに話してくれたんだ。
例えば、
京都の醤油問屋に奉公に出たこと。
胆石が治らずに、四国の胆石専門の療養所へ入院したこと。
以前にも聞いた毒ガスの話も聞いた。

あの頃にも生活があり、僕らと同じように祖母やすずさんも笑ったり歯を食いしばって頑張ったり、いろんな日々を過ごしていきながら今へと繋がっていたのだ。

新收成!中国电影

出張中に機内でいろいろ映画チェックして、これは!というのが3本。

1. 七月与安生 “Soul Mate”
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去年の9月、中秋節に公開。小説が原作で、七月と安生という名の幼なじみの少女が、悩みながら成長していく…という話だ。乾いたトーンが全体を貫き、冬の時期に見ると一層しみる。映像が美しく、それを眺めているだけでも楽しめる。
やはり、邦画ほど思いや工夫を凝らさず、こんな叙情的な話でもエンターテイメント然としているのが、奇しくも一冊の文庫小説を読むようなちょうど良い後味を残す。

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马思纯は以前見た「左耳」の、やんちゃな女の子を演ってた子だ!全然印象が違う!

2. 外公芳龄38 “Scandal Maker”
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11月公開のコメディ。安定の佟大为である。一応の話は、売れっ子ラジオDJが父親探しの電話相談に乗ったら自宅にまでやって来られ、なんなら実の娘だったことから…のドタバタだ。とにかく、余計なことを考えずにぼーっと見てても楽しい。

陈妍希ははじめて見たけどかわいい。きっちりコメディしてる。達者やわあ。
刘芮麟は「滚蛋吧!肿瘤君」に出てたらしい。友達役かな??

3. 我们的故事 Long Long Time Ago / 我们的故事2 Long Long Time Ago2
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今回、何より気に入ったのはこれ。去年の3月にシンガポール50周年記念で制作された、シンガポールの歴史を描く映画。とはいえ、ある家族の歴史を通して見せていて、ある意味朝ドラ的な風味に仕上げてあるから、とても自然に見ていける。

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あのシンガポールが、戦後の間もないころはこんなにも未開拓で何もないところだったのかという点。マレー人と福建人がこんな風に色んな事を乗り越えながら今に至っているのかという点。それ以外にも様々な人々が共存して頑張っていたのだという点。どれも今の姿と通じると同時に驚きの連続だった。
正直まだ全部は見れてないが、大変面白かったので全部見るのは間違いない。

隔世

中国語の先生に教えてもらった映画を見た。

致我们终将逝去的青春
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主題歌は王菲(フェイ・ウォン)。

2013年の映画だが、まるで10年前のようなクオリティ。特に現在の中国映画から比べたら圧倒的だ。逆に急速な成長にこそ驚く。

たぶん監督の赵薇の世代なのだろうか。95~2000年頃の大学生の物語。
正直に言って、文化が圧倒的に古臭い。これにも驚く。さらに社会人時代の近代化と比較してもう一度驚く。冷静になって納得するのだけど、このわずか5年ちょっとでの変化、日本でなら70年代から80年代とかに相当するのだろうか。それでもここまでとは…

新入生の部活勧誘のシーンでも。Gジャンにオーバーオール。そしてヤクザみたいなシャツ。
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いかにもおばちゃんっぽい辛子色のジャンパー。賭けトランプ。
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このヒロインである杨子姗は松浦亜弥に似ているな。

女子寮も家庭的ですらある雰囲気。牧歌的だ。
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会話がとにかく早い。男女ともにせっかちで怒りっぽくて、そう思うと今の世代は落ち着いているのだろうか。

集団就職のシーン。このシャツ全部が唸るような時代感を醸し出している。
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ああ、そういえば昔はこんなニュース映像ばかりだった事を思い出す。
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学内でのイベントも、こんな具合。ここではあの大事MANブラザースが唄われて驚いた。「紅日」という名で香港の歌手によるカバーが有名になった、らしい。
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主人公も、他の学友も、皆貧しいところから出てきて頑張って大学生活を謳歌している。決して見栄を競うわけでなく、本当に成功するなら留学しかない環境で、恋愛も諦めて…という話は、今の彼らには誇るべき大きな大きな成果なのだ。今の僕ら世代の中国の人々の胸には、きっとこの映画のような記憶が染み付いているのに違いない。泣けるに決まってるじゃないか。

多くの女性がどんどんアタックしていて、背中で語る哀愁を見せて、皆かっこいい。

少しヒロインに説明させすぎているし、彼女の思い切りが良すぎるきらいはあるが、それでも十二分に衝撃的で深く印象に残る映画だった。
亲爱的での素晴らしい演技といい、この映画を選ぶセンスといい、同い年でもあるし、赵薇のファンになりそうだ。

記憶

君の名は。を見てきた。

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大ヒット中だが、チケットを取ろうとしてここまでとは。
直近も次の回も既に9割方埋まっている。
しかも、劇場の客層も幅広くて「ああ、これはヒットしているのだ」
と体感した。

記憶をめぐる物語だ。
大きな記憶、衝撃の記憶、人伝いの記憶、昔の記憶。昨日の記憶。
僕が記憶と認識するから「記憶」なのであって、大切な思い出になるのだ。
震災の、自分が後から見に行った、決して体験した訳じゃない記憶は、
それはそれで大事なもので。
何が大事で何がそうじゃないかは、自分のお話なんだという。

シュタインズ・ゲートを思い出した。あれもタイム・ラプスものであった。

絵が良いという評判よりも、個人的には音楽の良さが印象的だった。
RADWIMPSは好きでも何でもないが、とても誠実な仕事をしている。

それにしても、純粋な恋愛映画なのに、とても複雑な構成だ。
こうまでして整合性を追求しなければいけないのか?
それがとても息苦しくもあった。

その部分は、中国映画を見習っても良い気もするぞ…

時代の境目

出張から帰宅。

今回は調子がよく大量に映画を見ることができた…が、いまいち良作に出会えず…

その中で一番はこれかな。
火鍋英雄 Chongqing hot pot

2016年4月に中国公開。
30前後と思われる80后世代の、しかし上手く成功できない者達の疎外感とか成功の先に求めるものを、銀行強盗をモチーフに描いている。
笑いとペーソス?のバランスが良くて、多分多くの人はこんな感覚なんじゃないかと想像してしまうし、これからの彼らはもっとこういう空気感になっていくんじゃないだろうか。

※紅一点の白百何は、先日「滚蛋吧!肿瘤君」で正反対なアッパー女子を演じていたので覚えている。確かな演技。

他の映画を見ていても、そういうバブル的感覚が残っているもの、そうでないものが混在していて、正に今の状況を映し出している気がした。

次点はこれ。
紀念日 Anniversary

2015年末の香港映画。
妻はブライダル、夫は不動産で子なし富裕層として生活するも、倦怠期の夫婦の模索を描く。
とにかく夫が優しく(たぶん中国の現代的夫婦も含めて)、だからこそ顕在化するズレの微妙な機微をじわじわと見せる。二人で生きる意味も含めて、平等ゆえに船頭が不在になる今っぽい夫婦感は日本以上に進んでいて、正直勉強になった。男こそジェンダーに囚われている、その部分も浮き彫りにしている面でも◯。

お約束の期間限定フル・ムービー

第3位は、
恶棍天使 Devil and Angel

これも2015年末に中国公開。
最近典型的な、CG使いまくりなコメディ・アクション。やっぱり中国映画はこういうコメディが一番面白いと思う。ベタだが堅いユーモアシーンをテンポよく入れてくれて十二分に2時間を満足できる。
主演が美人魚邓超。やり過ぎな演技はまあご愛嬌。藤井フミヤに似てるな。
孙俪の細かい工夫を重ねた演技が良かった。既に有名みたいだし、今さらだろうが覚えておきたい俳優だ。
※後日知ったがこの2人、実際の夫婦なのね。。。邓超の初監督業という事で奥さんも…という事か。

フル・ムービー

唐人街·探案 Detective Chin Tang

これは、大ヒットした人再囧途之泰囧 Lost in Thailand絡みだろうか。2015年末中国公開。
今中国では王宝强が大人気らしい。これもタイロケを大々的にやってるが、テイストは少し違ってる。もう彼の魅力で持っていく映画。でも十分面白かった。
ちなみに適役の陈赫はAngela Babyの映画「微爱之渐入佳境」でもちゃんと相手役らしい存在感があったのでよく覚えている。

フル・ムービー

その他、見たのは
睡在我上铺的兄弟 Who Sleeps My Bro

類型的な演技、演出が前時代的?に感じた、新卒の若者たちの群像劇。要するにチャラい、バブリー。途中まででやめた。

高跟鞋先生 Mr.High Heels

16年2月公開の、女性にフラれた事をきっかけに女装することになった冴えない男の話。
女装までの話で1時間かけて、しかもちょっとテンポが悪かった、かな…